ポケット小説家 _バトルなろンティア編_
【注】本ブログは、「なろう系小説ってこんな感じで作ってるやろw」的なノリで考えた筆者の独断と偏見の物語です。決して実在の作品、団体、ホームページなどとは一切関係ありませんが、そういうの苦手な人はブラウザバックしてね。
«サムネ用»
ナレーション:
『なろう系ラノベ』、縮めてて『なろべ』。
この出版不況の昨今に存在する不思議な不思議な物語。異世界に、異世界に、異世界に、現代、とつながった異世界に、日本中の至る書店にその姿を見ることができる。そして、そんな『なろべ』が大好きな少年、コピペタウンのサトル。就活や進学から目を背け、アニメ化小説家になるために、最高の印税生活をめざすために、今日もサトルはひとり、旅を続けているのだった。
☆☆☆☆☆
_サトルはとあるテーマパークのような施設へとやってきた。
サトル「ここが多くのなろう作家を生み出してきた施設、バトルなろンティアか!ここで修行して俺も、印税ゲットだぜ!」
なろンティアスタッフ「おーす、未来の文豪!ここに来るのは初めてか?」
サトル「(うわ、陽キャやん。)あ、ええ、とそのあの、ハイ」
ナレーション:サトルは極度のコミュ障である。
スタッフ「(…うわ、担当すんのめんどくせぇやつじゃん。)…そんじゃあ簡単にバトルなろンティアの説明をするぜ!ここには5つの施設があって、それぞれの施設でなろべ作家のスキルを鍛えてもらうぜ!施設はそれぞれ、ナロウファクトリー、ナロウシャトー、ナロウルーレット、ナロウステージ、そしてあの中央にそびえ立つでっかい建物、ナロウタワーに分かれている。どれから挑戦してもOKだぜ!」
サトル「えぇ!?い、いやでもその、いきなり挑戦しろって言われても……」
スタッフ「(…ガチのコミュ障じゃん。あ、そうだ)ちなみに挑戦していくとNP(なろうポイント)っていうのが貯まってって、これが一定数貯まると…」
サトル「…書籍化、ですか?」
スタッフ「神絵師にエッチな挿絵を描いて貰えます」
サトル「よし天才だ今すぐ案内してください」
ナレーション:こうして、サトルはバトルなろンティアへ挑戦することになったのだった。
【目次】
ナロウファクトリー編
_最初にサトルが連れてこられたのは、機械的なドーム型の施設だった。
スタッフ「ところでサトル、なろうで読まれるためには最初、何から始めると思う?」
サトル「え!?えぇと、惹かれるストーリーを考える、とかでしょうか?」
スタッフ「確かにそれも大事だ。だがそれよりも遥かに大切なことがある。…ちょっとランキング上位の作品を見てみるといい」
サトル「えぇと、(検索中)うわ!?タイトル長っ!?てか、あらすじ短っ!?」
スタッフ「その通り。最近のなろうでは、タイトルで内容がある程度わかるようにするのが主流だ。なろう風のタイトルをよくからかうやつがいるが、そもそも最近の若者はタイトルだけしか見ない。つまり、この原作者でも多分噛まずに言えないなろうのタイトルはタイトルで内容を伝えて、読み手に存在をアピールするなろう独自の文化と言えるんだ。」
サトル「な、なるほど。それでこの施設となんの関係が?」
スタッフ「ここはナロウファクトリー。これから審査員たちから有名なアニメやゲームのタイトルが『お題』として与えられる。その『お題』をなろう風のタイトルに変えて、より審査員がなろうっぽいと感じた方が勝ちだ。」
サトル「…つまり対戦相手よりもなろうっぽいタイトルを考えれば勝ちなんですね!」
スタッフ「うん、まずはやってみるといい。めざせ、ラノベ作家!」
☆☆☆☆☆
審査員A『これより、ナロウファクトリー1回戦を始めます!対戦カードは……大ベテラン、ニシシティジム代表:タケル選手vs期待のルーキー:サトル選手だぁ!!』
審査員B『タケル選手はかなりの手練ですから勝負は見えていますが、サトル選手にも健闘して欲しいですね』
審査員C『サトル選手かわいそう』
サトル「…うわぁ、めっちゃアウェーじゃん」
スタッフ「大丈夫だブラザー!俺の教えたことをしっかりと、落ち着いてやってみろ!俺はお前を応援してるぜ!!」
サトル「はい!」
審査員A『さぁ選手が出揃いました!今回のテーマは……『〇NEPIECE』だぁ!超有名作品をどうなろう風にするのか!?バトル、スタート!』
タケル「(…フンっ、これなら簡単だ……悪いなルーキー)」
サトル「(…えぇと、まずはあらすじを考えて、それをなろう風にして…)」
(5分後)
審査員A『さぁ両者回答が出たようです!まずはタケル選手から行きましょう!』
タケル「『異世界海賊無双〜最強の海賊めざしていざ出港〜』」
審査員B『さすがタケル選手、いかにもなろうっぽいタイトルですね』
審査員C『あとでベットの上で悶えるやつ』
審査員A『これは素晴らしい!圧倒的表現力!これぞニシシティジム代表タケル選手だ!』
サトル「……」
審査員A『さぁ、サトル選手の回答を…おや?サトル選手、うつむいております!自信を喪失したのでしょうか!?』
タケル「どうしたサトル?自信が無いならリタイアしてもいいんだぞ?」
サトル「…フ……フフ…」
タケル「!!?」
審査員A『い、いや、彼は笑っています!!そ、それでは、サトル選手、回答オープン!』
サトル「『ハズレスキル:ゴムになる能力を手に入れましたが、夢を叶えるために大航海します〜最強の海賊団の船長になって、富、名声、名誉、全部手に入れます!!〜』」
審査員A『こ、これは……』
審査員B『なろう、だね……』
審査員C『…5年後に思い出して寝込むやつ』
審査員A『勝者、コピペタウンのサトル!!』
タケル「ば、馬鹿な……」
サトル「把握した。」
スタッフ「……!!こいつは大物を掘り出してしまったかもしんねぇな…」
_その後もサトルは連勝に連勝を重ねたのだった。
ナロウファクトリー
URL: https://shindanmaker.com/1034760
ナロウシャトー編
サトル「『家の倉庫でスマホを拾ったのでeスポーツプレイヤーになります!〜なんか相手が見たことないカード使ってるけどとりあえず吠えろ、イグニスドラゴンッ!!〜』」
金根「う、うわぁああああ!!」
審査員A『しょ、勝者、サトル選手!!なろンティアブレーンの金根 四季(きんね しき)選手を倒し、ナロウファクトリー制覇だ!!』
☆☆☆☆☆
スタッフ「おーす、サトル!初回であの金根さんを倒すなんてすげーじゃねぇか!!」
サトル「スタッフさんのおかげですよ。ありがとうございます!」
スタッフ「いいや?お前の実力さ!かっこよかったぜ!じゃあ早速だけど次行くか!自信も着いてきただろ?」
サトル「……!!はい!どこに行くんですか?」
スタッフ「ナロウシャトーだ」
☆☆☆☆☆
_サトルたちは、ナロウシャトーと呼ばれる、お城のような建物にやってきたのだが……
シャトー受付「申し訳ございません、サトル様は未成年の方なのでご入場出来ません」
サトル「えぇ…」
スタッフ「…お前、15歳だったのか」
サトル「年齢制限あるのこの施設!?なんで!?」
スタッフ「ラブホみたいな見た目から察してくれよブラザー!!ここはナロウシャトー。魅力的なヒロインを作るために建てられた施設で、審査員から与えられる『性癖』を使って審査員を萌えさせた方が勝ちだ。」
サトル「なんだ、ただの萌え札じゃないですか。なんでR18なんですか?」
スタッフ「…ここの勝負で勝つ度にCP(シャトーポイント)っていうのが貰えるんだが、それを使ってエッチなサービスやプレゼントが受けられるんだ」
サトル「…ぐ、具体的には?」
スタッフ「1P オリジナルバイノーラル音声視聴
3P オリジナルバイノーラル音声CD
5P オリジナルエロタペストリー
10P オリジナル抱き枕カバーR18
30P エチエチマッサージ30分コース
50P エチエチマッサージ120分コース
100P 本番あり無制限コース(指名可能)
おすすめはカロヌ地方出身のセレーナちゃんだ。ボイス目当てなら天然系巨乳のはるちゃんもいいぞ。いやだが、方言が独特なマリアンヌちゃんも捨て難くて……」
サトル「お前通ってるだろ」
スタッフ「……」
サトル「……」
スタッフ「次、行こっか」
サトル「( 'ω')ウィッス」
ナロウシャトー
URL: https://shindanmaker.com/1034767
ナロウルーレット編
_サトルたちが次にやってきたのは、カジノのような煌びやかな施設だった。
スタッフ「ここはナロウルーレット。なろうワードがルーレットから3つ出題されるから、それを全部使ってなろう風のタイトルを作るゲームだ。ナロウファクトリーと違って制約が多いし中には地雷ワードも混ざってる。運が試される施設だ」
サトル「なるほど…限られた単語でなろうタイトル作ればいいんですね」
スタッフ「あぁ、まぁやってみろ」
サトル「はい!」
☆☆☆☆☆
審査員A『さ、サトル選手、10回連続で『異世界』、『転生』、『無双』を引き当てています!運が強い!強すぎる!』
審査員B『この3つの単語使っとけばとりあえずなろうっぽくなりますからね』
審査員C『なろうタイトルスターターセット』
サトル「なんだ楽勝じゃん」
スタッフ「…あいつ、運までいいのか」
ナロウルーレット
URL: https://shindanmaker.com/1034764
ナロウステージ編
スタッフ「もう残り2つか…お前只者じゃないな」
サトル「1つは飛ばされましたけどね」
スタッフ「だがここは今までとは違うぞ!その名もナロウステージ!この施設の目的は『ジャンルの選択とライバルへのリスペクト』だ。なろうランキング上位のヤツらをじっくりと観察することを学ぶための施設だ」
サトル「へぇ!確かに他人の書いた人気作品を見るのは勉強になりそうですね!それでこの施設では何をするんですか?」
スタッフ「まずは、なろうのジャンルをひとつ選んでくれ」
サトル「えぇと、じゃあ1番人気がありそうな«ハイファンタジー»で!」
スタッフ「…ほう。それでいいのか?上級者向けだぞ?」
サトル「でも、興味無いジャンルやっても意味ないじゃないですか。大変でも好きなことで生きていきたいんです!」
スタッフ「(こいつ…言うようになったじゃねぇか!)そうか、なら『なろう』のその小説のランキングをひらいてくれ」
サトル「はい!」
スタッフ「目標は1分以内でいいだろう。準備はいいか?」
サトル「はい?」
スタッフ「今から選んだジャンルの『小説家になろう』での人気ランキングTOP5のタイトル早読みをしてもらう!先程も言ったようになろうはタイトルで内容がわかるように作られている!!さぁ行くぞ!」
サトル「なにが『なろうランキング上位のヤツらをじっくりと観察することを学ぶための施設だ』だよ!アナウンサーにしかなれねぇよ!!」
スタッフ「ほら、始まるぞ!よーい」
サトル「え、いやちょ」
スタッフ「スタート!!」
サトル「ジンミャクチートモチノオレコクオウニコシキンチャクトバカニサレユウシャパーティヲツイホウサレタノデタコクデナカマタチトジユウニクラスコトニシタユウシャパーティガセイギョフノウニナッテオオアバレシテルラシイケドシランジンミャクチートノキュウセイタンカタイナカノオッサンケンセイニナルタダノイナカノケンジュツシハンダッタノニタイセイシタデシタチガオレヲホウッテクレナイケンキュウテイカジシノシアワセナニチジョウドウヤラオレハキュウテイイチノカジシダッタヨウダオレヲツイホウシタブラックナショクバハイマサラコマリハテテイルガモウオソイオレハリンゴクデコウシャクレイジョウニデキアイサレナガラノンビリイキマスキュウテイカジシガイマサライナクナッテコウカイシテモモウオソイオウケニツタワルデンセツノブキニテイレナドフヨウトムチナオウジニツイホウサレジユウヲエタノデネンガンダッタサイキョウノマケンサクセイニセンネンスルヒクテアマタナノデカエルキハモウトウナイクロネコノケンシマジュツヲキルケンジュツデパーティニコウケンシタケドマリョクゼロデムノウアツカイガマンノゲンカイナノデヤメテミタラエスキュウパーティニソクスカウトサレマシタカレラトチョウテンメザスノデイマサラアヤマラレテモモウオソイデス」
スタッフ「……30秒、だと?」
サトル「元放送部なんで」
スタッフ「お前絶対アナウンサーの方が向いてるぞ」
ナロウステージ
URL: https://yomou.syosetu.com/rank/genretop/
ナロウタワー編
スタッフ「いよいよ、ここまで着いてしまったようだな」
サトル「ここが最後の施設、ナロウタワー!!」
スタッフ「そうだ。ルールは至って単純だ。『小説家になろう』で小説を投稿して対戦相手よりPV数(総閲覧数)の多い方が勝ちだ。今まで学んできたことを活かして行ってこい!」
サトル「はい!行ってきます!!」
_そう言って受付に走っていく少年を見つめながら、スタッフが呟いた言葉は民衆の雑談にかき消された。
スタッフ「(…俺は先に行って待ってるぜ、サトル)」
☆☆☆☆☆
サトル「俺のPV数は『8000万』だぁあああ!!」
対戦相手「うわぁあああ!!」
審査員A『さすがサトル選手!もうその実力を疑うものはいません!!次は遂になろンティアブレーンとの対戦です!』
審査員B『…つい先日見せたひよっこの姿が嘘みたいだね』
審査員C『着実になろうの闇に染まってきてる』
☆☆☆☆☆
サトル「次で、次勝てば俺も書籍化して、神絵師にエッチな挿絵を描いてもらえる!さぁこい、ブレーン!!」
???「やぁ、よく来たなサトル」
サトル「!!?そんな、まさか貴方が…!」
スタッフ?「そう、俺こそが最後のブレーン、ナロウタワーマスター:クツログだ!!今までよく頑張ったな、サトル」
サトル「…どうして、俺の案内を?」
クツログ「実は俺もコピペタウンの出身でな。お前にスマホを渡したショウキボ博士。彼は俺の師匠でもあるんだが、彼から連絡を受けた。期待の新人がそっちに行くから面倒見てやれ、ってな」
サトル「そうだったんですね…最初から僕を……」
クツログ「じゃあ早速始めるか、最後の戦いを!」
_サトルは一瞬だけ戸惑ったような顔をしたあと、ファクトリーでの最初の戦いで見せたように笑った。
サトル「…いいえ、クツログさん。ここから『はじまる』んですよ。なろべ作家サトルとしての戦いが!!」
クツログ「さぁ行くぞ、サトル!!」
サトル「こちらも行きます、クツログさん!!」
ふたり「「俺の、PV数はぁああああ!!」」
_その戦いは、後に『なろンティアクロニクル』として語り継がれるほど、長く、激しかったという。
終わりに
(あれから1週間後)
サトルママ「…それで?帰ってきたってことは負けたの?」
サトル「……いやぁ、勝ちは、したんだけど…」
サトルママ「…じゃあなんで里戻りしてるの?」
サトル「なんか優勝してすぐに某ウイルスが流行って書籍化の話が流れちゃった♡」
サトルママ「……何か言うことは?」
サトル「就活頑張ります 」
_おしまい_
おまけ
『めざせ印税生活!(TVサイズ)』
『原曲:めざせポケモンマスター!』
たとえ異世界異世界異世界異世界異世界
異世界異世界異世界現代風の異世界
なかなかなかなかなかなかなかなか大変だけど
必ずゲットだぜ 印税ゲットだぜ
イエイエイエイエイエイエイ
就活ハロワに さよならバイバイ
俺はなろうで 筆を執る
(両親「やめとけ」)
チートスキルで なりあがり
仲間を増やして 次の街へ
いつもいつでもうまくいくなんて
ラノベの中でだけだけど
(両親「そりゃ そうだ」)
いつもいつでも本気で書いてる
書籍化作家«こいつ»たちがいる
\\(締め切り前の作家たちの悲鳴)//
あぁ 憧れの 印税生活に
なりたいな ならなくちゃ
ぜったいなってやる
p.s.全てのなろう作家たちへ
すみませんでしたm(_ _)m
_終われ_